哀愁の矢の川峠
「矢の川峠(矢ノ川峠)」と書いて「やのことうげ」と読む。私やのこ小僧も地元尾鷲からいろいろと情報発信しまっせ!  【 このページの文章、写真は無断で転用しないでください。もしご利用される場合ははやのこ小僧までご一報を!】

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「道路の改良 第18巻 第10号」に矢の川峠の開削工事に関する記事がありましたので抜粋して掲示します。

最初に「北牟婁郡長島町、尾鷲町を経て南牟婁郡木本町に至る府県道津木本線は指定府県道であり南紀地方交通の重要幹線である」とある。
この様にかねてから三重県はこの路線の改良の必要性を認めていたが、工事費の問題などでなかなか着手できなかったようです。

そこに鉄道省から工事費の一部負担の話が持ち上がり、昭和九年六月設計、内務省の認可を受け,更にこの工事費の一部について農村振興事業と国庫の補助を受けて同年九月工事に着手しました。
そして昭和十一年九月、ついに念願の完全自動車道が完成したのです。

工事は間組が行いましたが、矢の川峠7,766mの新路開削は難工を重ね多くの死傷者を出した模様です。
この記事の中で工事を担当した総指揮官上井土木課長、改修事務所長成田技師は、「この二
ヵ年肉を裂かれ、骨を削られる思いを続けて来た」とあります。
またこの記事を書いた作者は次のようにコメントしている。

「私は工事関係者の意思と力と紅の血潮に対して深甚の尊敬と感謝を捧げたい。竣工式の直後、成田改修事務所長を助け直接工事の監督に當られた金澤技手と共に之をドライブすることを得た私は、世人の気付かぬ、技術者の建設の苦労を偲んで涙なきを得なかった。」

それだけにこの道の完成に至っては、工事関係者及び県、そして尾鷲町木本町の喜びは計り知れないものがあったのでしょう。

記事の中に、矢の川八景というものが出てきます。
「皮肉にも難工事に苦しんだ場所程,後世に名畫、名吟を生みそうな絶景が見出されたそうだが、この中特に幽邃壮麗なものに付いて上井土木課長の選になる矢の川八景が生まれた。」
そうして次の8箇所が羅列されている。

1. 三田谷の渓流
  尾鷲町の市街地を離れて最初に迫る風景で矢の川の清流に沿い峠新削部に入る杉橋の林間を縫う箇所で岩魚の背が光る。

2.  南谷の石壁
  花崗岩の岩盤そそり立つ南谷付近で峠の最難関。

3.  瀧見の橋
  瀧と大林と紅葉谷の眺め。

4.  猪おとし
  第一隧道の出口で猪の通る嶮所。

5.  でんがら越
  古い山道跡で翠巒あふるるばかり。

6.  つむじトンネル大景観
  矢の川隧道付近でループ式新開削路が本邦唯一の山道形式を示している、尾鷲湾を望む景観は雄大。

7.  三木茶屋跡
  峠頂上で尾鷲湾、賀田湾を展望する。

8.  ケーブル跡
  ケーブル終点の山上に近く設ける眺望臺で、矢の川の景観を一望のうちに収め得る。




昭和道の開削詳細 その2 につづく・・・
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コメント
この記事へのコメント
工事に陸軍も絡んでいたのでしょうね
同じ時期にやはり自動車交通対応工事を行った万世大路(国道13号線福島市~米沢市の区間)もそうですが、これら一連の道路工事は世界恐慌からの救民事業という風になっていますが、実際は陸軍が絡んでいた可能性もあります。

特に紀伊半島は本土防衛にも絡んでいたので陸路を確保する必要があった・・・現に矢の川旧道の素掘りのトンネル群を見るとやたらとサイズが大きい(大型車の通行を想定したつくりになっている)のがその名残なのかもしれません。

矢の川峠の茶店で休む戦車を積んだ大型トレーラーとくろがね四起や97式戦闘サイドカーの一群が見られたかもしれませんね。
2008/12/15(月) 02:34:26 | URL | らん丸 #y3k9o/5U[ 編集]
らん丸さん ご無沙汰です!

確かに軍事がらみのことはあったと思います。
昨日今度のイベントのために下見に行ってきたのですが、確かにトンネルのサイズは大きいですね。
しかし尾鷲の北にある尾鷲トンネルなどは完成時期が少し前になりますが、サイズがずいぶん小さいです。
2008/12/20(土) 08:54:19 | URL | やのこ小僧 #-[ 編集]
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